入れ歯は奥歯に入れられる?種類や費用、放置するリスクを紹介
「入れ歯は奥歯に入れられる?」
「自分に合った入れ歯の種類や費用について知りたい」
「入れ歯の装着感や見た目に関する不安を解消したい」
奥歯の欠損や抜歯をした場合、支障がなければそのまま放置しても問題がないとお考えの方もいるのではないでしょうか。
しかし、奥歯を失ったままにしておくと、噛み合わせが乱れたり、顎関節に負担がかかったりして、口のなか全体の健康を損なう恐れがあります。
そのため、「入れ歯」や「インプラント」など、奥歯1本からでも可能な治療方法を検討するのがおすすめです。
本記事では、「入れ歯は奥歯に入れられるのか、種類や費用、放置するリスク」を紹介します。
入れ歯以外の治療法や、自分に合った治療法を選ぶためのポイントまで紹介しているため、ぜひ最後までご覧ください。
入れ歯は奥歯に入れられる?
入れ歯は、奥歯にも問題なく装着できます。
奥歯を失ったままにしておくと、噛み合わせが乱れたり、顎関節に負担がかかったりして、口のなか全体の健康を損なう恐れがあります。
たとえば、噛み合わせのバランスが崩れると、隣接する歯が傾いたり、反対側の歯が伸びてしまう場合もあります。
事前に変化を防ぐためにも、奥歯の欠損には早めに対応するのが大切です。
入れ歯の種類や特徴については、下記の記事で解説しています。
詳細は「入れ歯は1本だけ入れられる?種類や特徴、7つのメリットまで紹介」をご覧ください。
奥歯に入れられる部分入れ歯の種類と費用
奥歯に入れられる部分入れ歯の種類と費用について、以下に紹介します。
- 保険適用のレジン床義歯
- 金属床義歯(チタン床・コバルトクロム床)
- ノンクラスプデンチャー
- シリコーン義歯(コンフォートデンチャー)
- テレスコープ義歯(コーヌスクローネ・リーゲルテレスコープ)
- マグネットデンチャー
それぞれ解説します。
保険適用のレジン床義歯
保険が適用されるレジン床義歯は、レジン(プラスチック)素材を使用した入れ歯です。
3割負担の場合、費用は「5,000円〜1万5,000円程度」のため、経済的な負担を軽減できる入れ歯になります。
主に、コストを抑えて治療したい方に向いています。
金属床義歯(チタン床・コバルトクロム床)
金属床義歯は、薄くて丈夫な構造が特徴です。
金属製のため耐久性に優れ、装着時の違和感も軽減されます。
費用はコバルトクロム床で「40万〜60万円程度」、チタン床は「50万〜70万円程度」です。
とくに、快適性と長期間の使用を重視する方におすすめです。
金属床義歯については、下記の記事で解説しています。
詳細は「金属床義歯の部分入れ歯とは?種類別の特徴や選ぶ際の注意点まで紹介」をご覧ください。
ノンクラスプデンチャー
ノンクラスプデンチャーは、見た目に自然な入れ歯です。
弾力性のあるピンク色の樹脂を使い、金属のバネが見えない構造で目立ちにくいのが特徴です。
費用は「8万円〜30万円程度」で、審美性を重視する方に選ばれています。
シリコーン義歯(コンフォートデンチャー)
シリコーン義歯は、柔らかくフィット感に優れています。
医療用のシリコーン素材が使われており、歯ぐきへの圧迫が少なく快適に装着できます。
費用は、「40万円〜60万円程度」が目安です。
テレスコープ義歯(コーヌスクローネ・リーゲルテレスコープ)
テレスコープ義歯は、しっかりと固定されるためズレにくく、安定性と耐久性に優れています。
精密な二重構造が特徴で、長く使いたい方に適しています。
費用は、「80万円〜300万円以上」が相場です。
コーヌス義歯については、下記の記事で解説しています。
詳細は「コーヌス義歯とは?特徴やインプラントとの違い、治療の流れを紹介」をご覧ください。
マグネットデンチャー
マグネットデンチャーは、磁力で固定するため着脱が簡単で安定感があります。
保険適用時、マグネット1個あたりの費用は「6000円程度」です。
主に、使いやすさを重視する方におすすめです。
奥歯を失ったまま放置するリスク
奥歯を失ったまま放置するリスクは、以下の6つです。
- 噛み合わせが崩れる
- 顎関節への負担が増加する
- 歯列が乱れる
- 歯周病が進行する
- 発音に影響をおよぼす
- 食生活が制限される場合もある
ひとつずつ解説します。
噛み合わせが崩れる
奥歯を失ったままにしておくと、噛み合わせのバランスが崩れます。
隣の歯が倒れたり、反対側の歯が伸びたりすることで、咬合の安定が失われ、食事に支障が出る可能性があります。
顎関節への負担が増加する
奥歯がないまま過ごすと、片側だけで噛む癖がつき、左右の顎にかかる力のバランスが崩れます。
結果的に顎関節に無理な力が加わり、「カクッ」と音が鳴ったり、痛みが生じたりする場合もあります。
また、放置すると顎関節症に発展するケースもあるため、早期の対応が必要です。
歯列が乱れる
歯がないままでいると、隣接する歯が移動し、歯並びが乱れる場合があります。
歯列の乱れは見た目だけでなく、噛み合わせや発音にも影響をおよぼします。
整った歯並びを保つには、早めの補綴処置が大切です。
歯周病が進行する
奥歯の欠損で咬合バランスが崩れると、残った歯に過度な負担がかかります。
結果として清掃が行き届かず、歯垢や歯石がたまりやすくなり、歯周病が進行するケースもあります。
ほかの歯を守るためにも、早めの治療が望まれます。
発音に影響をおよぼす
奥歯がないと、舌の位置が安定せず、「サ行」「タ行」などの発音が不明瞭になる場合もあります。
発音の変化は、日常会話や電話対応にも支障をきたすため、適切な対処が求められます。
食生活が制限される場合もある
奥歯を失うと噛む力が弱まり、硬い食材や繊維質の多い食品が食べにくくなります。
肉やナッツ、根菜などを避けるようになると、栄養の偏りや消化不良が起こるおそれもあります。
快適な食生活を維持するには、早期の補綴が効果的です。
奥歯に入れ歯を入れるメリット・デメリット
奥歯に入れ歯を入れるメリット・デメリットを、以下に紹介していきます。
奥歯に入れ歯を入れるメリット
奥歯に入れ歯を入れるメリットは、以下の5つです。
- 噛み合わせが改善される
- ほかの歯への負担が軽減される
- 顔の輪郭や口元の形状を保てる
- 発音が改善できる
- 食事の楽しみを取り戻せる
それぞれ解説します。
噛み合わせが改善される
奥歯に入れ歯を装着すると、噛み合わせが整い、上下の歯がしっかりと接触するようになります。
噛む力が均等に分散されるため、咀嚼効率が向上し、胃腸への負担も軽減されます。
ほかの歯への負担が軽減される
入れ歯で欠損部を補うことで、残っている歯に集中していた噛む力の負担が分散されます。
無理な力がかからなくなることで、歯の摩耗や破損のリスクを抑えられます。
長く自分の歯を大切にしたい方には、大きなメリットです。
顔の輪郭や口元の形状を保てる
奥歯がないまま放置すると、頬が内側にくぼみ、顔全体の印象が老けて見える場合もあります。
入れ歯を入れることで、頬の内側から支えができ、自然な表情が保たれます。
治療後、見た目にも気を配りたい方にとっては重要な要素です。
発音が改善できる
入れ歯を使うことで、舌の動きが安定し、「サ行」「タ行」などの発音がクリアになります。
発声がはっきりすれば、会話にも自信を持ちやすくなるでしょう。
食事の楽しみを取り戻せる
奥歯がしっかりと機能することで、硬い食材や繊維質の多い食品も無理なく噛めるようになります。
バランスのよい食生活を維持しやすくなるため、健康管理にも役立ちます。
奥歯に入れ歯を入れるデメリット
奥歯に入れ歯を入れるデメリットは、以下の4つです。
- 装着時に違和感がある
- 初めての場合は発音が不明瞭になる
- 入れ歯が外れやすくなる場合がある
- メンテナンスの手間がかかる
ひとつずつ解説します。
別途、入れ歯のデメリットについては、下記の記事で解説しています。
詳細は「入れ歯のデメリットとは?種類別の特徴やデメリットの解消方法を紹介」をご覧ください。
装着時に違和感がある
初めて入れ歯を使う場合、異物感を覚えるケースがあります。
ただし、数日から数週間で慣れる方が多いため、焦らず徐々に慣れていくのが大切です。
初めての場合は発音が不明瞭になる
入れ歯の厚みや形状により、最初は発音が不自然になりやすいです。
ただし、練習や調整を続ければ、多くのケースで改善が可能です。
入れ歯が外れやすくなる場合がある
入れ歯がしっかりフィットしていないと、会話中や食事中にズレる場合があります。
一方、定期的な調整や再作製によって、安定感は向上します。
メンテナンスの手間がかかる
入れ歯は、毎日のケアが必要です。
使用後の洗浄や、洗浄剤でのつけ置きが欠かせません。
しかし、口腔内の衛生を保つためにも丁寧に続けるのが重要です。
入れ歯以外の治療法【インプラント・ブリッジ】
入れ歯以外の治療法は、以下の2つです。
- インプラント
- ブリッジ
それぞれ解説します。
インプラント
インプラントは、人工の歯根を顎の骨に埋め込んで固定する治療方法です。
主に、天然歯に近い噛み心地が得られるのが特徴です。
周囲の歯を削る必要がなく、見た目も自然で審美性が高い点が魅力です。
ただし、外科手術が必要であり、費用も比較的高額になります。
持続性と機能性を重視したい方に向いています。
ブリッジ
ブリッジは、失った歯の両隣にある健康な歯を削って支えとし、人工歯を橋のようにかけて補う治療です。
比較的短期間で治療が完了し、保険適用されるケースもあるため、費用を抑えやすい傾向にあります。
ただし、支えとなる歯に負担がかかるため、長期的に利用したい方は注意が必要です。
自分に合った治療法を選ぶためのポイント
自分に合った治療法を選ぶためのポイントは、以下の5つです。
- 生活スタイルを考慮する
- 治療における予算を設定する
- 治療期間と通院頻度を確認する
- メンテナンスの手間を考慮する
- 歯科医師へしっかり相談をする
ひとつずつ解説します。
生活スタイルを考慮する
治療方法を選ぶ際は、日常のライフスタイルとの相性も大切です。
たとえば、こまめなケアが苦手な方は、メンテナンスが簡単な方法を選ぶとストレスが軽減されます。
自分の生活リズムに、無理なく取り入れられる治療を検討しましょう。
治療における予算を設定する
治療費は、選ぶ方法によって大きく異なります。
保険適用の有無や自費診療かどうかを確認し、あらかじめ予算を決めておくと安心です。
長期的なコストも考慮して、総合的に判断しましょう。
治療期間と通院頻度を確認する
治療法によって、通院の回数や治療期間が異なります。
たとえば、インプラントは「3カ月〜1年以上」かかる場合がありますが、ブリッジや入れ歯は「1カ月程度」と、比較的短期間で終わるケースもあります。
合わせて、予定や通院のしやすさも考えて選ぶのが大切です。
メンテナンスの手間を考慮する
治療後のメンテナンスも、大切なポイントです。
入れ歯は毎日の洗浄が必要で、インプラントは定期的なメンテナンスが求められます。
無理なく続けられるケア方法かどうかを、あらかじめ確認しておくと良いでしょう。
歯科医師へしっかり相談をする
最終的な治療法の選択は、歯科医師との相談が重要です。
自分の口腔内の状態や希望を丁寧に伝え、医師の説明や提案をもとに納得のいく方法を選びましょう。
不安な点は遠慮せずに質問することが、後悔のない治療につながります。
【まとめ】奥歯1本だけと考えずに早めに治療しよう
入れ歯は、奥歯1本だけでも問題なく入れられます。
奥歯を失ったままにしておくと、噛み合わせが乱れたり、顎関節に負担がかかったりして、口のなか全体の健康を損なう恐れがあります。
もし「入れ歯で噛み合わせを改善して楽しく食事をしたい」「入れ歯で発音・発声を改善して会話を楽しみたい」方は、早めに歯科医院を受診してみましょう。
大宮いしはた歯科では、入れ歯やインプラント、審美歯科など、患者さんの解消したいお悩みに応じて最適なご提案・治療をおこなっております。
現在の歯に関する噛み合わせを改善し、笑顔で食事や会話を楽しみたいと思っている方は、ぜひお気軽にご相談ください。