入れ歯は何歳から?入れ歯が必要になる原因や予防習慣まで紹介
「入れ歯を入れるのは何歳から?」
「入れ歯を初めてつける平均年齢が知りたい」
「入れ歯が必要になる原因が知りたい」
入れ歯の作製には、年齢制限がありません。
しかし、入れ歯は高齢者がするものではなく、若い世代でも歯を失うリスクは十分にあります。
本記事では、「入れ歯を入れるのは何歳からか、入れ歯が必要になる原因や予防習慣」を紹介します。
早くから入れ歯にしないために始めるべき予防習慣まで紹介しているため、ぜひ最後までご覧ください。
入れ歯を入れる年齢は何歳から?
入れ歯を入れる年齢は何歳からなのかについて、以下に紹介していきます。
- 歯を初めて失う平均年齢
- 入れ歯を初めてつける平均年齢
- 入れ歯の年齢制限はある?
それぞれ解説します。
歯を初めて失う平均年齢
日本人が初めて歯を失う平均年齢は50代ですが、決して高齢者だけの問題ではありません。
歯を失う大きな原因である歯周病に、40代頃からかかる人が増え始めることが背景にあります。
入れ歯を初めてつける平均年齢
入れ歯は、複数の歯を失うなど、より深刻な問題を抱えやすい「60〜70代」で治療を開始する方が多い傾向にあります。
歯を失ってから実際に入れ歯治療を選択する年齢は、歯を失う原因や本数によってさまざまです。
たとえば、50代で最初の1本を失ってもブリッジで対応し、60代でさらに別の歯を失ったタイミングで、まとめて入れ歯にするというケースが考えられます。
入れ歯の年齢制限はある?
入れ歯の作製に年齢制限は一切ありません。
入れ歯は体の状態に合わせて作製できる治療法であり、外科手術も必要ないため、年齢や持病を問わず幅広い方が対象となります。
入れ歯が必要になる主な3つの原因
入れ歯が必要になる主な3つの原因は、以下のとおりです。
- 歯周病
- 虫歯(う蝕)
- 歯の破折
ひとつずつ解説します。
歯周病
歯を失う最大の原因は、実は虫歯ではなく歯周病です。
歯周病は、歯垢に含まれる細菌が歯ぐきに炎症を起こし、最終的に歯を支える骨(歯槽骨)を溶かしてしまう病気です。
公益財団法人8020推進財団の調査でも、抜歯原因の第1位は歯周病(37.1%)であり、虫歯(29.2%)を上回っています。
引用元:公益財団法人8020推進財団|第2回 永久歯の抜歯原因調査
自覚症状がないまま静かに進行するため「サイレント・ディジーズ(静かなる病気)」とも呼ばれます。
たとえば「歯磨きの時に血が出る」「歯ぐきが赤く腫れぼったい」といったサインは、歯周病の初期症状かもしれません。
虫歯(う蝕)
虫歯も、歯を失う主要な原因のひとつです。
虫歯が進行して歯の神経(歯髄)まで達すると、激しい痛みをともない、やがて神経は死んでしまいます。
神経を失った歯はもろくなり、放置して歯の根だけが残った状態になると、治療が困難となります。
たかが虫歯と軽く考えず、痛みを感じる前に治療を開始するのが、自分の歯を守るうえで大切です。
歯の破折
歯ぎしりや不慮の事故による「歯の破折(はせつ)」も、歯を失う見過ごせない原因です。
強い力が加わることで歯にひびが入ったり、割れたりすると、その歯の保存が難しくなります。
たとえば、睡眠中の無意識な歯ぎしりや食いしばりは、自身の体重の何倍もの力を歯に加え、深刻なダメージを与えます。
自覚のない癖やスポーツ中の衝突といった思いがけず起きる出来事が、抜歯につながる場合もあるため注意が必要です。
入れ歯のメリット
入れ歯のメリットは、以下の4つです。
- 体への負担が少なく外科手術が不要
- 健康な歯を削る必要がない
- 治療期間が短く費用を抑えられる
- 将来の治療の選択肢を残せる
それぞれ解説します。
また、入れ歯のデメリットについては、下記の記事で解説しています。
詳細は「入れ歯のデメリットとは?種類別の特徴やデメリットの解消方法を紹介」をご覧ください。
体への負担が少なく外科手術が不要
入れ歯治療はインプラントと異なり、外科手術が不要で、体への負担も少ないです。
治療は主にお口の型取りと調整が中心となるため、高血圧や糖尿病などの持病をお持ちの方や、手術に抵抗がある方でも安心して受けられます。
また、インプラント手術のように、骨を削ったり歯ぐきを切開したりする必要がなく、治療後の痛みや腫れもほとんどありません。
身体的な状態を問わず適用できるのが、入れ歯治療の特徴です。
安心して治療を受けたいと考える方にとって、入れ歯は魅力的な選択肢となります。
健康な歯を削る必要がない
ブリッジ治療と違い、入れ歯は支えとなる隣の健康な歯を削る必要がありません。
ブリッジは、失った歯の両隣の歯を土台として削り、橋をかけるように人工の歯を被せる治療法です。
一方、部分入れ歯はクラスプ(バネ)を隣の歯に引っ掛けて固定するため、健康な歯質を傷つけることなく装着できます。
自分の歯を1本でも多く、健全な状態で残したいと考える方にとってはメリットになります。
将来的なお口の健康を第一に考える場合、歯を削らない入れ歯は合理的な治療法です。
治療期間が短く費用を抑えられる
入れ歯は、ほかの治療法に比べて治療期間が短く、費用を抑えられる点も魅力です。
たとえば、保険が適用される入れ歯の場合、型取りから完成まで数回の通院で済み、2週間〜1カ月程度で治療が完了するのが一般的です。
インプラント治療は6カ月〜1年近くかかることや、自費診療で高額になることに比べて、時間的・経済的な負担を大幅に軽減できます。
そのため、できるだけ早く、費用をかけずに失った歯の機能を回復したいというニーズに応えられるのが入れ歯です。
また、治療へのハードルが低いことも、入れ歯が選ばれやすい理由です。
将来の治療の選択肢を残せる
取り外しが可能な入れ歯は、将来的にほかの治療法へ移行できる「選択の自由」を残せます。
たとえば、一度ブリッジにしてしまうと、土台の歯を削っているためもとに戻せません。
しかし、入れ歯の場合は、まずは入れ歯で機能回復を図り、将来的に経済的な余裕ができたタイミングでインプラント治療に切り替えるといった柔軟な計画が可能です。
お口の中の状態やライフプランの変化に合わせて、最適な治療を再検討できる余地があります。
将来を見据えた治療計画の柔軟性も、入れ歯ならではの利点となります。
目立ちにくい入れ歯の種類
目立ちにくい入れ歯の種類は、以下の4つです。
- ノンクラスプデンチャー
- ホワイトクラスプデンチャー
- 磁性アタッチメント義歯
- インプラントオーバーデンチャー
ひとつずつ紹介します。
ノンクラスプデンチャー
ノンクラスプデンチャーは、金属のバネを一切使用しないため、装着していても周りから気づかれにくい特徴があります。
歯を支えるクラスプ部分が、歯ぐきの色に似たピンク色の樹脂でできており、口元に自然に馴染みやすいです。
素材は薄く、軽く、弾力性があるため、装着感も良好かつ快適さを実現できます。
そのため、審美性を最も重視する方や、入れ歯であることを他人に知られたくない方に最適な選択肢です。
ホワイトクラスプデンチャー
ホワイトクラスプデンチャーは、金属のバネの代わりに、歯の色に近い白い樹脂製のクラスプを使用した入れ歯です。
金属のギラギラした感じがなく、口を開けた時にクラスプが目立ちにくいため、審美性を向上させられます。
ノンクラスプデンチャーほどの自然さはありませんが、従来の金属クラスプに比べて格段に見た目が良くなります。
審美性と費用のバランスを重視したい方にとって、有力な選択肢です。
磁性アタッチメント義歯
磁性アタッチメント義歯は、残っている歯の根と入れ歯に超小型の磁石を埋め込み、その磁力で固定する先進的な入れ歯です。
バネを使用しないため見た目がスッキリしており、強力な磁力でしっかりと固定されるため、食事中や会話中に外れたりガタついたりする心配がほとんどありません。
また、構造がシンプルなため、着脱やお手入れがしやすい点もメリットです。
とくに見た目も安定感も妥協したくない方に、満足度の高い治療法です。
インプラントオーバーデンチャー
インプラントオーバーデンチャーは、数本のインプラントを顎の骨に埋め込み、それを土台として入れ歯を固定する治療法です。
インプラントが入れ歯をしっかりと支えるため、従来の総入れ歯にありがちな「ズレる」「浮き上がる」といった悩みを根本的に解決してくれます。
結果的に、自身の歯のようにしっかりと噛めるようになり、食事の楽しみを取り戻せます。
総入れ歯が合わなくて困っている方や、もっと安定した入れ歯が欲しい方にとって有効な選択肢です。
入れ歯以外の治療法との違い
失った歯を補う治療法には、主に以下3つの選択肢があります。
- 入れ歯:取り外し式で、隣の歯にバネをかけて固定。安価で手術は不要ですが、違和感やズレが生じやすく、噛む力も弱まりやすい。
- ブリッジ:失った歯の両隣にある健康な歯を削って土台にし、橋のように連結した人工歯を被せて固定。比較的短期間で治療できますが、健康な歯を削る必要がある。
- インプラント:顎の骨に人工の歯根を埋め込み、そのうえに人工歯を装着。自分の歯のようにしっかり噛めて見た目も自然ですが、外科手術が必要で治療期間が長く、費用も高額になる。
ただし、個人個人に最適な治療法については、歯科医師と相談して決めましょう。
早くから入れ歯にしないために始めるべき5つの予防習慣
早くから入れ歯にしないために始めるべき予防習慣は、以下の5つです。
- セルフケアの質を上げる
- 定期検診を受けて予防する
- 食生活を改善する
- 歯ぎしり・食いしばりなどの癖を予防する
- 不慮の事故から歯を守る
それぞれ解説します。
セルフケアの質を上げる
入れ歯を回避するための基本は、毎日のセルフケアの質を徹底的に上げることです。
たとえば、歯周病や虫歯の主な原因である歯垢(プラーク)は、歯ブラシだけでは6割程度しか除去できません。
そのため歯ブラシに加えて、デンタルフロスや歯間ブラシを使い、歯と歯の間や歯と歯ぐきの境目など、汚れが溜まりやすい場所を丁寧に清掃するのが不可欠です。
正しいオーラルケアを習慣にすることで、歯を失う二大原因のリスクを大幅に減らせます。
定期検診を受けて予防する
歯は、痛くなってからではなく、痛くなる前に歯科医院で定期検診を受けるのが大切です。
たとえば、自覚症状がない初期の虫歯や歯周病は、プロの目でなければ発見が難しく、自分では気づけないうちに進行がしやすいです。
しかし、定期検診では、専門的なクリーニングによってセルフケアでは落としきれない歯石やバイオフィルムを除去し、お口のなかをリセットできます。
また万が一、問題が見つかっても早期に治療を開始できるため、歯へのダメージを最小限に抑えられます。
自分の歯を長く保つために、歯科医院を「治療する場所」から「予防する場所」へと意識を変えていきましょう。
食生活を改善する
歯の健康を維持するためには、バランスの取れた食生活を心がけるのが重要です。
糖分を多く含む飲食物を頻繁に摂取したり、ダラダラと間食を続けたりすると、お口のなかが酸性に傾き、虫歯になりやすい環境が作られてしまいます。
たとえば、食事の際はよく噛んで唾液の分泌の促進や、歯の材料となるカルシウムや食物繊維の豊富な野菜を積極的に取り入れるのが大切です。
何を食べるか、どう食べるかといった日々の選択は、歯の強さに直接影響を与えます。
毎日の食事から歯の健康を意識することが、虫歯や歯周病に負けない体づくりにつながります。
歯ぎしり・食いしばりなどの癖を予防する
自分では気づきにくい歯ぎしりや食いしばりの癖は、歯に深刻なダメージを与えるため、積極的な予防が必要です。
無意識のうちに歯にかかる過剰な力は、歯がすり減ったり、ひびが入ったり、時には割れてしまったりする「歯の破折」の原因となります。
とくに睡眠中の歯ぎしりはコントロールが困難で、自身の歯を少しずつ傷つけているかもしれません。
そのため、自覚のない癖が、将来的に歯を失うリスクを高めている場合もあります。
もし思い当たる節がある方は、歯科医院で歯を守る対策をおこなうのが重要です。
不慮の事故から歯を守る
スポーツ中の衝突や日常生活での転倒など、不慮の事故から歯を守るための備えも大切です。
強い衝撃によって歯が折れたり、抜けたりしてしまうと、もとに戻すことは困難です。
たとえば、選手同士の接触が多いコンタクトスポーツでは、お口のなかを怪我するリスクが常にともないます。
予測できないアクシデントが、一瞬で大切な歯を奪ってしまう場合もあります。
こうした事態を防ぐためには、スポーツを楽しむ際はスポーツマウスガードを装着するなど、適切な防具で身を守りましょう。
【まとめ】入れ歯になる前に生活習慣から見直そう
入れ歯は、複数の歯を失うなど、より深刻な問題を抱えやすい「60〜70代」で治療を開始する方が多い傾向にあります。
しかし、歯を失ってから実際に入れ歯治療を選択する年齢は、歯を失う原因や本数によってさまざまです。
もし「いまの年齢で入れ歯治療をおこなうべきなのか知りたい」「可能な限り入れ歯を使わずに済む方法を探したい」とお考えの方は、早めに歯科医院を受診してみましょう。
大宮いしはた歯科では、入れ歯やインプラント、審美歯科など、患者さんの解消したいお悩みに応じて最適なご提案・治療をおこなっております。
現在の歯に関する噛み合わせを改善し、笑顔で食事や会話を楽しみたいと思っている方は、ぜひお気軽にご相談ください。