入れ歯と差し歯の違いとは?それぞれのメリット・デメリットを徹底解説
「入れ歯と差し歯の違いとは?」
「自分に合った治療法が知りたい」
「人前で話すときに口元を気にせず自信を持ちたい」
上記の疑問をお持ちの方は、最近歯の抜歯をすすめられているものの、治療法として「入れ歯」と「差し歯」の違いがよくわからず、見に不満があるのではないでしょうか。
入れ歯と差し歯の違いは、欠損の状態と治療方法・構造によって明確に分かれます。
本記事では、「入れ歯と差し歯の違いや、それぞれのメリット・デメリット」を紹介します。
歯を失ったまま放置するリスクまで紹介しているため、ぜひ最後までご覧ください。
入れ歯と差し歯の決定的な違いは「歯の根っこ(歯根)が残っているか」

入れ歯と差し歯の最も大きな違いは、治療に「歯の根っこ(歯根)」が残っているかどうかです。
入れ歯は、1本以上の歯を失った場合に用いる取り外し式の装置です。総義歯はすべての歯を失った場合、部分義歯は一部の歯を失った場合に適用されます。
一方、差し歯は、歯の頭の部分(歯冠)が失われても、残っているご自身の歯根に土台を立てて人工歯を被せる固定式の治療法です。
治療の可否や選択肢は、ご自身の歯根が残っているかによって根本的に異なります。
抜歯と診断された場合は、差し歯ではなく、入れ歯やインプラントなどを検討することになります。
入れ歯のメリット・デメリット

入れ歯のメリット・デメリットについて、以下に紹介していきます。
入れ歯のメリット
入れ歯のメリットは、以下の6つです。
- 保険適用なら費用を安く抑えられる
- 外科的な手術が不要で身体への負担が少ない
- 自費診療なら目立ちにくい種類(ノンクラスプデンチャーなど)も選べる
- 取り外して自分で清掃・お手入れができる
- 修理や調整が比較的しやすい
- 1本から広範囲の歯の欠損まで対応できる
それぞれ解説します。
保険適用なら費用を安く抑えられる
入れ歯治療では、保険適用を選ぶことで費用を安く抑えられます。
保険診療の範囲内であれば、治療費の自己負担割合が1割〜3割となるためです。
その結果、一般的な入れ歯は数千円から1万円程度の費用で作成でき、経済的な負担を大きく軽減できます。
費用面を重視する方にとって、保険適用の入れ歯はメリットが大きいと言えます。
外科的な手術が不要で身体への負担が少ない
入れ歯治療は、外科的な手術を伴わないため、身体への負担が非常に少ないです。
インプラント治療のように顎の骨に人工歯根を埋め込む手術が不要で、型取りによって装置を作成するためです。
そのため、糖尿病などの持病がある方や、ご高齢で全身状態に不安がある方でも、比較的安全に治療を進めることが可能です。
身体の負担を極力避けたい患者様にとって、入れ歯は最適な選択肢となります。
自費診療なら目立ちにくい種類(ノンクラスプデンチャーなど)も選べる
見た目を気にされる方は、自費診療で目立たない入れ歯を選ぶことが可能です。
保険適用の入れ歯には金属のバネ(クラスプ)が必須であり、目立ってしまうことが多いためです。
たとえば、「ノンクラスプデンチャー」と呼ばれる、金属のバネを使わずに歯茎に近い色の樹脂で固定する入れ歯を選ぶことで、審美性を大幅に高められます。
審美性と機能性を両立させたい場合は、自費診療の入れ歯を検討されることをおすすめします。
取り外して自分で清掃・お手入れができる
入れ歯は毎日取り外して清掃できるため、衛生的に保ちやすいという特長があります。
固定式の差し歯やブリッジと異なり、お口の外で細部まで丁寧に洗浄できるためです。
専用のブラシや洗浄剤を使ってお手入れを徹底することで、入れ歯や口腔内の雑菌の繁殖を防ぎ、口臭や虫歯、歯周病のリスクを減らせます。
毎日の丁寧な清掃によって、入れ歯を長持ちさせながら清潔な口腔内環境を維持できます。
修理や調整が比較的しやすい
入れ歯は、作製後の修理や調整が比較的容易におこなえます。
歯茎の経年的な変化に合わせて裏打ち材を追加したり、破損した部分を修復したりすることが、歯科医院で短時間で対応可能なためです。
たとえば、合わなくなった入れ歯の調整も、簡単な修正であればその日のうちに完了することが多く、作り直しよりも費用と時間を節約できます。
治療後の口腔内の変化に合わせて柔軟に対応できる点が、入れ歯の大きな強みです。
1本から広範囲の歯の欠損まで対応できる
入れ歯は、欠損している歯が1本の場合から全ての歯がない場合まで、広範囲に対応できる治療法です。
装置の構造上、歯根の有無や欠損部の範囲に依存せず、人工歯を補うことができるためです。
部分入れ歯だけでなく、全ての歯を補う総入れ歯も作製できることから、歯を多く失ってしまった方にとって重要な選択肢となります。
どのような欠損状況にも適用できる汎用性の高さが、入れ歯治療の魅力です。
入れ歯のデメリット
入れ歯のデメリットは、以下の5つです。
- 保険適用の場合は金属のバネが目立ちやすい
- 装着時の違和感や発音のしにくさを感じることがある
- 自分の歯(天然歯)と比べて噛む力が弱くなる
- 毎日取り外して清掃する手間がかかる
- バネをかける健康な歯に負担がかかることがある
ひとつずつ解説します。
保険適用の場合は金属のバネが目立ちやすい
保険適用で作製する部分入れ歯は、外から見える部分に金属のバネが目立ちやすいです。
日本の保険制度において、入れ歯を固定するためのクラスプ(バネ)に金属を使用することが標準的です。
とくに前歯に近い部分の歯を補う場合、この金属製のバネが会話中や笑顔の際に露出してしまい、審美性が損なわれる原因となります。
見た目を重視する方は、保険適用外の目立たない素材を検討する必要があります。
装着時の違和感や発音のしにくさを感じることがある
入れ歯を装着すると、異物感や発音のしにくさを感じることがあります。
入れ歯の床(歯茎を覆う部分)が、舌や頬の動きを制限したり、口腔内の広い面積を覆ったりするためです。
とくに初めて入れ歯を入れた直後は、話しづらさや吐き気を感じる方もいますが、時間をかけて慣れていく必要があります。
快適に使うためには、装着後の調整と、ご自身が慣れるための期間が必要です。
自分の歯(天然歯)と比べて噛む力が弱くなる
入れ歯の噛む力は、自分の天然歯と比べてかなり弱くなってしまいます。
入れ歯が顎の骨に直接固定されるのではなく、歯茎の粘膜の上に「乗せて」固定する構造だからです。
そのため、インプラントや天然歯と比べると、硬い食べ物や粘着性の高い食べ物を噛み切ったり、すり潰したりすることが難しくなることがあります。
食べ物の選択肢や食事の満足度に影響が出やすい点は、入れ歯の機能面での課題です。
毎日取り外して清掃する手間がかかる
入れ歯は、衛生的に保つために毎日取り外して清掃する手間がかかります。
取り外して洗浄しないと、入れ歯と歯茎の間に食べ物のカスや雑菌が溜まりやすく、口臭や歯周病の原因となるためです。
毎食後や就寝前には、専用のブラシや洗浄剤を用いて丁寧に手入れをする必要があり、これが面倒に感じる方もいます。
日々のお手入れが欠かせない点は、事前に理解しておくべきでしょう。
バネをかける健康な歯に負担がかかることがある
部分入れ歯の場合、バネをかける周囲の健康な歯に負担がかかるリスクがあります。
部分入れ歯は、バネ(クラスプ)によって周囲の歯に固定されているため、噛む力がその歯に集中して伝わってしまうからです。
その結果、バネをかけている歯が揺れやすくなったり、将来的に歯の寿命を縮めてしまったりする可能性があります。
残っている健康な歯を長く保つためには、バネによる負担を軽減するための設計が重要となります。
差し歯のメリット・デメリット

差し歯のメリット・デメリットについて、以下に紹介していきます。
差し歯のメリット
差し歯のメリットは、以下の5つです。
- 素材(セラミックなど)を選べば天然歯のように見た目が美しい
- 自分の歯根に固定するため違和感が少なく発音もしやすい
- 天然の歯に近い感覚でしっかり噛むことができる
- 取り外す必要がなく、自分の歯と同様に歯磨きできる
- 周囲の健康な歯を削ったり、負担をかけたりしない
それぞれ解説します。
素材(セラミックなど)を選べば天然歯のように見た目が美しい
差し歯は、素材を選ぶことで天然歯のように非常に見た目が美しい仕上がりにできます。
自費診療でセラミックやジルコニアなどの素材を選択することで、色合いや透明感を細かく調整できるからです。
そのため、特に前歯の治療において、周囲の歯と自然に調和させることが可能となり、笑顔に自信を持つことにつながります。
審美性を追求したい方にとって、差し歯の素材の選択は非常に重要です。
自分の歯根に固定するため違和感が少なく発音もしやすい
差し歯は、自分の歯根に固定されるため、装着時の違和感が少なく、発音しやすいです。
入れ歯のように歯茎を覆う大きな床(プレート)がないため、舌の動きを妨げることがないからです。
装着直後から天然歯に近い感覚で、ストレスなく会話や食事を楽しむことが可能となります。
治療後の違和感や発音への影響を懸念される方には、差し歯が適しています。
天然の歯に近い感覚でしっかり噛むことができる
差し歯は、天然の歯に近い感覚でしっかりと噛むことができます。
歯根が顎の骨に固定されている状態を活かし、その上に人工歯がセットされるため、噛む力が効率よく伝わるからです。
硬い食べ物でも抵抗なく噛むことができ、食事の満足度が大きく向上します。
機能性を重視し、自分の歯で噛んでいた感覚を取り戻したい方におすすめの治療法です。
取り外す必要がなく、自分の歯と同様に歯磨きできる
差し歯は固定式のため、取り外す必要がなく、自分の歯と同じように歯磨きができます。
毎日入れ歯を取り外して洗浄する手間がなく、清掃の習慣を変える必要がないためです。
ただし、歯と差し歯の境目は汚れが溜まりやすいため、フロスや歯間ブラシを用いた丁寧なケアは欠かせません。
日々のお手入れの手間を減らし、自然な形で口腔ケアを継続できる点が大きな魅力です。
周囲の健康な歯を削ったり、負担をかけたりしない
単独歯の差し歯は隣の歯を削らない一方、対象の歯の形成は必要です。
欠損補綴のブリッジは、隣の歯にクラウンを被せる設計となります。
失われた歯そのものの歯根を土台として利用する治療法のため、健康な歯の寿命を縮めるリスクがなく、ほかの歯への影響を最小限に抑えやすいです。
残っている天然歯の健康を最優先したい方にとって、この点は重要なメリットとなります。
差し歯のデメリット
差し歯のデメリットは、以下の6つです。
- 健康な歯の根っこ(歯根)が残っていないと治療できない
- 見た目の良い素材(セラミックなど)は自費診療で費用が高額になる
- 保険適用の素材(硬質レジン)は時間経過で変色しやすい
- 歯根が割れる(歯根破折)リスクがある
- 歯茎が下がり、根元や金属の土台が黒ずんで見えることがある
- 歯根の状態によっては治療期間が長くなる
ひとつずつ解説します。
健康な歯の根っこ(歯根)が残っていないと治療できない
差し歯の治療をおこなうには、健康な歯の根っこ(歯根)が残っていることが絶対条件です。
差し歯は、歯根に土台(コア)を差し込み、その上に人工歯を被せる構造になっているためです。
虫歯や歯周病などで歯根まで失ってしまった場合や、歯根が折れていたりヒビが入っていたりする場合は、抜歯が必要となり、差し歯は選べません。
治療の可否は、まずご自身の歯根の状態にかかっていることを理解しておきましょう。
見た目の良い素材(セラミックなど)は自費診療で費用が高額になる
天然歯に近い見た目を持つセラミックなどの素材を選ぶと、費用が高額になります。
審美性や耐久性に優れた素材は、保険適用外の自費診療となるためです。
差し歯の費用は素材によって大きく異なり、自費診療の場合、1本あたり数十万円程度の費用がかかるのが一般的です。
審美性を追求する場合は、治療費の予算を十分に検討することが重要です。
保険適用の素材(硬質レジン)は時間経過で変色しやすい
保険適用で用いられる硬質レジン前装冠は、時間の経過とともに変色しやすいというデメリットがあります。
硬質レジン(プラスチック)は水分を吸収する性質があり、飲食物の色が染み込みやすいからです。
その結果、年数が経つにつれて、作った当初の白さが失われ、周囲の天然歯との色合いに差が出て目立ちやすくなることがあります。
長期的な審美性を求める場合は、変色のリスクが低い自費診療の素材を選ぶ方が安心です。
歯根が割れる(歯根破折)リスクがある
差し歯は、残った歯根に過度な力がかかると、歯根が割れる「歯根破折」のリスクがあります。
土台(コア)を差し込むために歯根が削られていることや、強い噛み合わせや食いしばりなどによって、歯根に集中した負担がかかるためです。
歯根が割れてしまうと、その歯を残すことが困難になり、最終的に抜歯せざるを得なくなるケースが多いです。
歯根破折を防ぐために、過度な力を分散させるためのマウスピースの着用などが推奨されることがあります。
歯茎が下がり、根元や金属の土台が黒ずんで見えることがある
歯茎が下がってくると、差し歯の根元や土台が露出し、黒ずんで見えることがあります。
歯周病や加齢などが原因で歯茎が後退すると、差し歯の被せ物と歯根の境目や、金属製の土台(コア)が露出してしまうからです。
この現象は「ブラックマージン」と呼ばれ、とくに前歯などの目立つ部分の審美性を損なう原因となります。
歯茎の状態を健康に保つための定期的なメインテナンスが、審美性を維持するうえで非常に重要です。
歯根の状態によっては治療期間が長くなる
差し歯の治療は、歯根の状態によっては治療期間が長引くことがあります。
差し歯の土台となる歯根に感染や炎症がある場合、事前に「根管治療」を完了させる必要があるからです。
根管治療は、感染が完全に除去されるまで、複数回の通院が必要となるため、最終的な差し歯の装着までに数か月を要する場合もあります。
治療期間については、歯科医師による事前の精密検査で確認しておくべきです。
入れ歯と差し歯以外で歯を補う治療法

入れ歯と差し歯以外で歯を補う治療法は、以下の2つです。
- 自分の歯のようにしっかり噛める「インプラント」
- 両隣の歯を土台に固定する「ブリッジ」
それぞれ解説します
自分の歯のようにしっかり噛める「インプラント」
インプラントは、自分の歯のようにしっかりと噛める、機能性に優れた治療法です。
顎の骨に人工の歯根(インプラント体)を埋め込み、その上に人工歯を固定するため、天然歯に近い安定した噛む力を再現できるためです。
また、固定式で違和感が少なく、周囲の健康な歯を削る必要もないため、ほかの歯に負担をかけません。
ただし、外科手術が必要であり、治療期間が長く、費用が高額になるというデメリットもあります。
身体的・経済的な負担は大きいですが、機能性と審美性を追求したい場合に検討すべき治療法です。
両隣の歯を土台に固定する「ブリッジ」
ブリッジは、比較的短期間で治療が完了し、保険適用も可能な固定式の治療法です。
歯を失った部分の両隣の歯を削って土台とし、橋渡しをするように人工歯を被せて固定するからです。
入れ歯のように取り外しの手間がなく、固定式であるため違和感が少なく、ある程度しっかり噛むことができます。
しかし、最大のデメリットは、支えとする両隣の健康な歯を大きく削る必要があり、その歯に負担がかかって寿命を縮めるリスクがあることです。
手術を避けたいが固定式を希望し、かつ費用と期間を抑えたい場合に有効な選択肢となります。
歯を失ったまま放置するリスク

歯を失ったまま放置するリスクは、以下の6つです。
- 歯がない部分から空気が漏れ発音しにくくなる
- 口元の印象が変わり老けて見えることがある
- 隣の歯が倒れ込み全体の噛み合わせが崩れる
- 残った健康な歯に負担がかかり寿命を縮める
- 食べ物をうまく噛めず胃腸に負担がかかる
- 噛む刺激が減り認知症などのリスクが高まる
ひとつずつ解説します。
歯がない部分から空気が漏れ発音しにくくなる
歯を失った部分を放置すると、発音に影響が出ることがあります。
とくに前歯などでは、歯がない隙間から空気が漏れることで、舌の動きと空気の流れが変わり、正しい発音ができなくなるためです。
その結果、「さ行」や「た行」などの特定の音をはっきりと発音できなくなる、いわゆる発音障害や滑舌の悪化を招くことがあります。
コミュニケーションの質を維持するためにも、歯の欠損は早急に補う必要があります。
口元の印象が変わり老けて見えることがある
歯を失ったままにしておくと、口元の印象が変わり、老けて見えるようになるリスクがあります。
歯がなくなると、その部分の顎の骨が刺激を失って徐々に痩せていく(骨吸収)ため、顔の輪郭を支えられなくなるからです。
その結果、頬がこけて見えたり、口角が下がったり、ほうれい線が深くなったりして、実年齢よりも老けた印象を与えてしまいます。
審美的な観点からも、歯の欠損は放置すべきではありません。
隣の歯が倒れ込み全体の噛み合わせが崩れる
歯を失ったまま放置すると、隣の歯が倒れ込み、全体の噛み合わせが崩れる原因となります。
歯は隣り合う歯と噛み合う歯(対合歯)に支えられて定位置を保っているため、空いたスペースがあるとバランスが崩れてしまうからです。
抜けた歯の対合歯は、噛み合う相手を探して伸び出し(挺出)てきたり、隣の歯は空いたスペースに傾いてきたりして、最終的に歯並び全体が乱れます。
噛み合わせの崩壊は顎関節症や虫歯のリスクを高めるため、連鎖的なトラブルを防ぐことが重要です。
残った健康な歯に負担がかかり寿命を縮める
歯の欠損を放置すると、残った健康な歯に過度な負担がかかり、その寿命を縮めてしまいます。
失われた歯の役割を他の歯が代償する必要があるため、一部の歯に集中して強い力がかかってしまうからです。
これにより、残存歯の摩耗が早まったり、歯の根元にヒビが入ったり(歯根破折)、歯周病の進行が加速したりするリスクが高まります。
大切な天然歯を長く維持するためにも、噛む力のバランスを回復させる治療が必要です。
食べ物をうまく噛めず胃腸に負担がかかる
歯を失うと、食べ物を十分に噛み砕くことができなくなり、胃腸に大きな負担がかかります。
食べ物が大きく硬い塊のまま胃に運ばれると、消化器官が活発に働く必要が生じるためです。
咀嚼機能の低下は、消化不良や栄養吸収率の低下を招き、胃腸トラブルや全身の健康問題につながるリスクを高めます。
健康的な生活を送るためにも、食べ物をしっかり噛める状態を回復することが大切です。
噛む刺激が減り認知症などのリスクが高まる
歯を失ったままにしておくと、噛む刺激が減少することで、将来的に認知症などのリスクが高まる可能性があります。
食べ物を噛むという行為は、脳に強い刺激を与える重要な役割を果たしているからです。
咀嚼機能が低下することで脳への血流や刺激が少なくなり、これが認知機能の低下へつながる可能性もあります。
歯の治療は、お口の健康だけでなく、脳の健康を維持するためにも欠かせません。
入れ歯や差し歯を選択する際の注意点

入れ歯や差し歯を選択する際の注意点は、以下の5つです。
- 抜歯と診断された場合は「差し歯」の治療は選べない
- 見た目の自然さ(自費)と費用(保険)のどちらを優先するか決めておく
- 毎日の手入れの方法(取り外し vs 固定式)が全く異なる
- 将来的な調整や再治療のリスクも理解しておく
- 各治療法のメリット・デメリットを丁寧に説明してくれる歯科医院を選ぶ
それぞれ解説します
抜歯と診断された場合は「差し歯」の治療は選べない
抜歯が必要と診断された歯に対しては、差し歯の治療を選択することはできません。
差し歯は、残っている自分の歯根を土台として利用する治療法であり、歯根がなくなる抜歯後は適用できないためです。
抜歯後の治療法は、入れ歯、インプラント、ブリッジのいずれかとなるため、歯科医師の診断結果をよく確認する必要があります。
治療の選択肢は、歯根の状態によって根本的に変わることを覚えておきましょう。
見た目の自然さ(自費)と費用(保険)のどちらを優先するか決めておく
治療法を選ぶ際には、見た目の自然さ(審美性)を優先するか、費用(経済性)を優先するかを決めておくことが大切です。
天然歯に近い美しい見た目を実現する素材(セラミックなど)は、高額な自費診療となるからです。
一方、費用を抑えたい場合は保険適用の素材を選ぶことになりますが、金属のバネが目立ったり、経年で変色したりするリスクがあります。
予算とご自身の求める審美性のバランスを、事前に家族や歯科医師とよく話し合って決めておくべきです。
毎日の手入れの方法(取り外し・固定式)がまったく異なる
入れ歯と差し歯では、毎日の手入れの方法がまったく異なります。
入れ歯は取り外し式であるため、毎食後に外して専用の洗浄剤やブラシで清掃する必要があります。
一方、差し歯は固定式であるため、自分の歯と同じように歯磨きをするだけで済み、取り外しの手間が一切ありません。
ご自身の生活習慣や、どこまで手間をかけられるかを考慮し、無理なく続けられるお手入れ方法の治療法を選択しましょう。
将来的な調整や再治療のリスクも理解しておく
どの治療法を選択する場合でも、将来的な調整や再治療のリスクも理解しておくことが重要です。
入れ歯は歯茎の変化に合わせて定期的な調整が必要であり、差し歯やブリッジも、土台の歯根や支台歯にトラブルが生じると再治療が必要になることがあるからです。
とくに、差し歯は歯根破折、ブリッジは支台歯の虫歯、インプラントはインプラント周囲炎といった、治療法特有のリスクが存在します。
治療後の定期的なメンテナンスを継続することが、これらのリスクを最小限に抑える鍵となります。
各治療法のメリット・デメリットを丁寧に説明してくれる歯科医院を選ぶ
適切な治療法を選択するためには、各治療法のメリット・デメリットを丁寧に説明してくれる歯科医院を選ぶことが最も重要です。
歯の欠損を補う治療法は複数あり、患者様の口腔内の状態やライフスタイルによって最適な選択肢が異なるためです。
経験豊富な歯科医師は、入れ歯、差し歯、インプラント、ブリッジの全てを考慮に入れ、保険診療と自費診療の両面から、患者様に最も適した治療計画を提案してくれます。
信頼できる歯科医師を見つけることが、後悔のない治療への第一歩となります。
入れ歯と差し歯に関するよくある質問

入れ歯と差し歯に関するよくある質問を以下にまとめました。
- 歯の根っこ(歯根)がなくても差し歯はできますか?
- 前歯の治療でも、入れ歯や差し歯は選べますか?
- 前歯の差し歯は変色しやすく後悔するって本当ですか?
- 費用(保険適用と自費)はどれくらい違いますか?
- 寿命や日々のお手入れ(メンテナンス)はどう違いますか?
ひとつずつ回答していきます。
歯の根っこ(歯根)がなくても差し歯はできますか?
歯根が残っていない場合、差し歯治療はできません。
差し歯は歯根を土台として人工歯を被せるため、土台となる歯根が必要です。
歯根がないケースでは、入れ歯・ブリッジ・インプラントなど別の治療法を選ぶことになります。
前歯の治療でも入れ歯や差し歯は選べますか?
前歯の治療でも、入れ歯・差し歯・インプラント・ブリッジのいずれも選択可能です。
前歯は見た目が重視されるため、差し歯ならセラミック、入れ歯ならノンクラスプデンチャーなど審美性の高い素材が選ばれやすくなります。
そのため、前歯治療では費用よりも見た目を優先した素材選びが重要になります。
前歯の差し歯は変色しやすく後悔するって本当ですか?
前歯の差し歯が変色して後悔することがあるのは、保険適用の硬質レジン前装冠を選んだ場合です。
レジンは吸水性があり、飲食物の色が染み込みやすいため時間とともに黄ばみや変色が起こりやすいためです。
一方、セラミックやジルコニアは変色しにくく、長期間自然な白さを保てるため、審美性を重視する場合に適した素材です。
費用(保険適用と自費)はどれくらい違いますか?
入れ歯や差し歯は、保険適用と自費診療で費用に大きな差があります。
保険は安価ですが素材や見た目に制限があり、自費は高額な一方で審美性や機能性の自由度が高くなります。
たとえば、保険は数千円〜1万円程度、自費は数十万円になることもあり、費用と求める品質のバランスを見て選ぶことが大切です。
寿命や日々のお手入れ(メインテナンス)はどう違いますか?
差し歯は固定式で普段は歯磨きだけで済みますが、歯根が弱ると再治療が必要になることがあります。
入れ歯は取り外して専用の清掃が必要ですが、調整や修理がしやすく広い範囲の欠損にも対応できます。
どちらも長持ちさせるには、定期的な歯科でのメインテナンスが欠かせません。
【まとめ】入れ歯の特徴を理解して自分に合う治療法を選択しましょう

歯の欠損を補う治療法には、主に「入れ歯」「差し歯」「インプラント」「ブリッジ」の4つの選択肢があります。
違いとして、入れ歯とブリッジは歯根がない場合も適用可能であるのに対し、差し歯は歯根が残っていることが絶対条件であることです。
費用や審美性、噛む力や手入れのしやすさなど、それぞれの治療法には明確なメリットとデメリットが存在するため、ご自身の価値観と口腔内の状態にもとづいて選択すべきです。
もし「入れ歯で恥ずかしい思いをしたくない」「自身の最適な治療法が知りたい」方は、早めに歯科医院を受診してみましょう。
大宮いしはた歯科では、入れ歯やインプラント、審美歯科など、患者さんの解消したいお悩みに応じて最適なご提案・治療をおこなっております。
現在の歯に関する噛み合わせを改善し、笑顔で食事や会話を楽しみたいと思っている方は、ぜひお気軽にご相談ください。



